「燻製を作ってみたけどなんか酸っぱい」
「初めて作った燻製の風味が薄い感じがする」
こんな経験一度はしたことがあるのではないでしょうか?
その原因は、もしかしたら燻製を正しく寝かせていないことが原因かもしれません!!
こんにちは燻製ブロガーのタケミです!
今回は燻製後の寝かせ方(熟成のさせ方)について解説いたします。
この記事でわかること
・燻製後に寝かせることで煙の風味が落ち着いておいしくなる
・寝かせる時間が長くなると脱水が進み、食材が硬くなる
・燻製後は冷蔵庫で寝かせるのが一番簡単
目次
燻製後に寝かせる理由
燻製後に寝かせる理由は大きく分けて二つです。
煙を落ち着かせて風味を引き立てるため
燻製後はすぐに食べると煙臭さが際立ってしまい、正直あまりおいしくないことが多いです。
なぜなら、食材に煙が乗りすぎてしまっているから!!
燻製後に食材を寝かせることによって、余計な煙成分を放散させ燻製の味をマイルドにすることができます。
また、食材としても寝かせて熟成させることによって、食材中のたんぱく質の分解が進むことによってアミノ酸が増えて、うまみ成分のグルタミン酸が生成されます。
一度燻製直後のものと1日寝かせたものを食べ比べてみると、その大切さがわかると思います!
脱水して保存性を高めるため
「燻製は煙の風味を楽しみ、よりおいしくいただくもの」
というイメージが強いと思います。
実際、近年冷蔵技術も進歩しているため、保存性はそこまで考える必要はなくなっているんじゃないかなと思います。
ですが、もともとの燻製は食材を長期保存するための手段であり、そこが魅力でもあります。
そんな燻製の保存性を高めている一番の要因は「脱水」です。
もちろん、煙による殺菌効果もありますが、それよりも燻製による熱と熟成による脱水が大きな役割を果たしています。
ではどうして脱水することによって保存性が高まるのでしょうか??
それは、腐敗の原因であるバクテリアが増殖するのに水の存在が不可欠だからです。
余談ですが、バクテリアが利用できる水のことを自由水といいます、脱水によって自由水の割合が減ることは当然ですが、塩や糖につけることによってもその自由水の割合を減らすことができます。
それは、バクテリアは塩や糖とくっついた水を利用することができないためです。かわいそうですね。
燻製後に寝かせないとどうなる??
ここまでで燻製後に寝かせる(熟成させる)大切さについては知っていただけたと思います。
ですが、
「せっかく燻製したらすぐ食べたい!我慢できない!」
「BBQでその場で燻製して食べたい!」
と寝かせず食べたい人もいるのではないかと思います。
『「少しだけ味見しよう!」とパクパク食べていたら全部なくなってしまっていた』
ということをしょっちゅうやっちゃってます笑
では、実際に寝かせないとどんなデメリットがあるのでしょうか?
結論から申し上げますと、いろいろなデメリットがありますが、すべてに言えることは
「純粋にあまりおいしくない」
ということです。
では、具体的にどうおいしくなくなるのでしょうか?
煙くさくて風味が薄くおいしくない
燻製後は煙のとがった薫りばかりが強くなっており、逆に燻製特有の風味の部分がかき消されてしまっています。
燻製の風味がないだけならまだいいのですが、煙のとがった薫りによって、
もととなっている食材の良さまでかき消されてしまうこともあります。
酸味や渋みが強くておいしくない
「燻製後のえぐみが強すぎて食べられたもんじゃない」
「酸味が強すぎて全然おいしくない」
といった経験皆さんも一度はあるのではないでしょうか?
これは、燻製前の脱水や燻製中の水分のふき取りを行っていなかったことが原因の場合が多いです。
しかし、こうなってしまった場合でも失敗した!!と思って捨ててしまうのはまだ早いです。
燻製後の脱水によって煙の成分を放散させることによって、えぐみや酸味をおさえることができるのです!!
一方で、それらの成分は水溶性のため、脱水をしっかりと行っておかないと、食材に成分が乗りすぎてしまい、えぐみや酸味を感じる原因となってしまいます。
燻製後に寝かせる際の注意点
注意するポイントとしては以下の2つです
- 温度と湿度に注意する
- 脱水が進むと、硬くなったり塩辛くなったりする
温度と湿度に注意する
まず、温度と湿度に関してですが、これは腐敗やカビによる食中毒を防止するためです。
微生物は30度前後で一番増殖します。
そのため、燻製後の程よくあったかい状態で放置してしまうと、、、大変なことになってしまうのです。
もちろん、煙によってバクテリアの数を減らすことはできます。
しかし、煙の当たっていない食品の内側や、煙の当たっていた外側であったとしても、一定数の微生物が存在している可能性があるため油断はできません。
脱水が進むと、硬くなったり塩辛くなったりする
脱水が進むと食材中の塩分濃度が上がり自然としょっぱくなります。
塩抜き後に味見をする時は、脱水が進むと塩辛くなることを考えてすこし薄味に調整するほうがおススメです。
また、水分が飛べば飛ぶほど食材の硬さが増していきます。
ここは完全に好みですが、中はしっとりした感じで仕上げたい場合は少し脱水期間を短めにしてみましょう。
逆に、ジャーキーのような感じでガッチリした食感にしたい場合は数週間単位での熟成が必要になります。
燻製後に寝かせる方法
燻製後の熟成で一般的なのは以下の2通りです。
-
冷蔵庫で寝かせる
-
外干しで寝かせる
冷蔵庫で寝かせる
燻製後そのままお皿などに入れて冷蔵庫に入れます。
ラップはしてもしなくてもいいと思うのですが、
冷蔵庫へのにおい移りが気になるかたは、ラップで包んでからジップロックに入れて寝かせるのがおススメです。
外干しで寝かせる(冬季限定)
外干し用のネットに入れ、外気に当てて脱水させます。
ネットがない方や面倒な方は、燻製器の中に置いたままでも大丈夫です。
ここで注意ポイントなのですが、この方法は冬場だけ行うようにしましょう。
理由は外気温が10度以上の状態だと、バクテリアの増殖に適した環境になってしてしまい、食中毒の原因となるためです。
また、外で干す場合は雨や風、野生動物といった外的な要因にも注意しましょう!
うっかりふたを開けて放置したりすると、鳥や野良猫に持ってかれちゃいますよ!!
燻して寝かせるまでが燻製です!!
ここまで燻製後に寝かせる必要性、寝かせる方法について紹介させていただきました。
燻製って作っていると
「どんな味になるかな」「早く食べたいな」「一緒にお酒も飲みたいな」「てゆうか早くお酒飲みたいな」
ってワクワクしちゃいますよね。
なので、できたらすぐ食べたくなってしまう気持ちもとても良くわかります。
でも、そこを我慢して少し寝かせてから食べてみてください。
きっと燻製のさらなる魅力に気づくことができるはずです!